中古マンションを買う際には、築年数の選び方が分からないと迷ってしまう方もいるかもしれません。
そこで、この記事では、中古マンションの値段や安全性に注目して、どの築年数のマンションを選ぶべきかを詳しく解説します。
また、耐震性や耐久性についても言及し、安心できる中古マンションを見極める方法を紹介していきます。
中古マンションは築年数で購入する?
先に、他の人が実際に購入しているマンションの築年数について具体的な情報をお伝えします。
多くの人が購入しているマンションは、築何年という点で幅広い範囲に分布しています。
築約20年が目安
売り出されている中古マンションの築年数と成約された中古マンションの築年数を比較すると、売り出されている物件の築年数は26.93年(前年度は26.15年)であり、成約状況を見ると築22.10年(前年度は21.81年)となっています。
つまり、売り出されている物件の方が比較的古い築年数となっています。
さらに、過去10年間の築年数の推移を見ると、築古マンションの人気が高まっている傾向があります。
これは、中古マンションの価格面でのメリットに加えて、最近では中古マンションをリノベーションするというブームが広まっていることが背景にあります。
そのため、成約される中古マンションの築年数も徐々に上昇していると予想されます。
中古マンションの築年数と資産価値
中古マンションの販売価格は、建物が築年数を重ねるごとに下がる傾向があります。
しかし、実際の市場動向を考慮すると、築25年以降で価格の下落が止まると言えます。
以前は、中古マンションの価格は築20年で下げ止まると言われていましたが、最近では築古の中古マンションが増えたため、価格競争が起こり、築25年以上で下げ止まる傾向が見られます。
つまり、築25年までは築年数に応じて価格が下落する一方で、築25年を超えるとほぼ横ばいになります。
言い換えると、築25年を過ぎると価格の下落はほぼ止まるため、築25年付近で購入すれば、その後の価値下落を心配する必要がありません。
多くの方が将来的にマンションを売却することを見越して購入を検討しているかもしれません。
そうした方々にとって、築30年付近の中古マンションは、新築と比べて半額以上安く購入できる上、資産価値も下がりにくいという利点があります。
そのため、お得な買い物と言えるでしょう。
中古マンションの築年数の寿命
鉄筋コンクリート造の建物の物理的な寿命は一般的に117年とされています。
そして、1951年に大蔵省主税局が発表した「国定資産の耐用年数の算定方式」では、外壁塗装などの修繕工事を行えば150年まで持続することも記述されています。
このことから、適切な管理とメンテナンスが行われれば、中古マンションでも100年以上住むことが可能です。
日本では築100年という建物のイメージはあまり一般的ではありませんが、海外では築100年以上の建物は珍しくないです。
たとえば、ニューヨークにある「エンパイア・ステート・ビル」は築90年の歴史を持つ建物です。
しかし、一方で中古マンションの中には築40年くらいで建て替えになっているものもあります。
2014年に行われた東京カンテイの調査によると、建て替えられた中古マンションの平均築年数は全国で33.4年、東京都で40.0年となっています。
しかし、この数字は単に寿命を迎えたマンションの平均年数を示しているだけであり、実際にそのマンションに住む人々の生活年数が計算に含まれているわけではありません。
つまり、適切な管理やメンテナンスが行われているかどうかによって、マンションの寿命は60年以上も変化する可能性があるということです。
したがって、私たちが住むマンションが長く持続するためには、定期的な点検や必要な修繕を適切に行うことが重要です。
中古マンションは築年数によって2つの耐震基準がある
日本は地震が多い国ですので、将来起こる可能性のある地震に対するマンションの耐震性を把握することが重要です。
中古マンションが地震に耐えるかどうかは、築年数によって大まかに判断することができますが、その際に知っておくべき用語として「旧耐震基準」と「新耐震基準」という言葉があります。
耐震基準は、建物の耐震性能に関する公的な基準のことであり、1981年6月1日(築40年)を境に、旧耐震基準と新耐震基準の2つが存在します。
全国平均では、旧耐震基準のマンションは全体の20.9%を占め、つまり5棟に1棟が旧耐震基準のマンションとなります。
旧耐震基準では、地震の揺れが震度5強程度であっても、建物が倒壊や崩壊しないことが基準とされていますが、新耐震基準では、震度6強から7程度の地震でも建物が倒壊や崩壊しないことが求められます。
特に東北や九州など地震の多い地域に住んでいる方は、新耐震基準のマンションを選ぶことをおすすめします。
ただし、一つ注意が必要なのは、新耐震基準は「1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物」を指し、「必ずしも1981年6月1日以降に完成した建物とは限らない」という点です。
新耐震基準であるかどうかを判断するには、建築確認を受けてから実際に建物が完成するまでの期間を考慮する必要があります。
マンションの場合は、2年程度の余裕を持って考えておくと良いでしょう。
したがって、耐震性を重視する場合は、築38年未満の中古マンションを選ぶことがおすすめです。
中古マンションを選ぶ時のポイント
中古マンションを選ぶ際には、建物の寿命は重要な要素となります。
しかし、寿命はマンションの管理状況や他の個別の事情によって異なることがあります。
つまり、どれほど古いマンションであっても、きちんと管理されていれば長く安心して住むことができる可能性があります。
修繕が行われているかチェック
中古マンションを選ぶ際に最も重要な要素は、マンションの管理状況です。
なぜなら、将来的にマンションが劣化していく原因として、適切な周期(一般的には12年ごと)で行われるべき大規模修繕工事が行われていないことがあるからです。
そのため、長期間住むことができる中古マンションを選ぶためには、長期修繕計画が作成されているかどうかや修繕積立金・管理費が適切に徴収されているかを確認することが重要です。
長期修繕計画とは、管理組合が独自に作成する、将来の修繕工事を計画するための長期的な計画のことです。
この計画に基づいて修繕積立金の額が決まります。
実際に行われた国土交通省の平成30年度マンション総合調査によれば、現在、7%の管理組合は長期修繕計画を作成していないということがわかっています。
また、修繕積立金はマンションの経年劣化に応じて増額されることが一般的です。
将来的にどのような修繕積立金の値上げ計画があるか、また現時点で十分な修繕積立金が徴収されているかを確認することも重要です。
中古マンションを選ぶ際には、不動産会社に連絡して必ず長期修繕計画を確認しましょう。
この計画が存在するかどうかを確認することで、将来的な修繕工事が適切に行われるかどうかを判断することができます。
また、修繕積立金の徴収状況も確認してください。
これらの情報をきちんと把握することで、中古マンションの購入において後悔することが少なくなるでしょう。
空室状況もチェック
修繕積立金の適切な徴収のためには、住民が長期間にわたって住み続ける必要があります。
これは、マンションの資産価値を守るために非常に重要な条件です。
なぜなら、空室率が高いと修繕積立金を徴収することが難しくなり、メンテナンス状況が悪化してしまうからです。
その結果、買い手が付きづらくなり、資産価値が下落してしまう可能性があります。
したがって、空室率は非常に重要な観点だと言えます。
さらに、現在の空室率が高いエリアでも将来的に人口が減少する見込みの場合、将来的にも空室率が上昇すると予想されます。
そのため、将来的にその街の資産価値が維持されるのかどうかは事前に調査しておくべきです。
人口減少の予測は比較的容易に行うことができるため、将来的な資産価値を判断するための重要な情報源となります。
配管や給水設備などの建物構造をチェック
築40~50年の築古マンションでは、配管や給水設備などの点検が重要です。
特に、1970年代に建てられたマンションでは、配管がコンクリートに埋まっていることが多いです。
この場合、配管を交換することができないため、問題が発生する可能性があります。
また、下の階の天井裏を通っている場合、リノベーションをする際には下の階の住人の協力が必要となります。
このような問題が発生すると、空室率や管理状況が良好であっても、配管の寿命がマンションの寿命となる可能性があります。
実際に国土交通省の調査によると、築30年を超えたマンションの建て替えを検討する理由の中で、最も多いのは「排水や給水設備の劣化」であり、54.1%の割合を占めています。
まとめ
築年数が20年以上の中古マンションは、築浅のマンションと比べて手が届きやすくなります。
なぜなら、価格がある程度下がっているからです。
しかし、売却時に考慮すべきポイントは、売れる物件であること、つまり資産価値が高い家を買うことです。
資産価値の低いマンションは、適切な価格で売却することができません。
そのため、将来的に住み替えをする必要が生じた場合に困ることもあります。
資産価値は、駅からの距離や築年数などの要素に関連していると考えられがちですが、実際には再開発の予定や法律による用途区域など、多くの要因が影響します。
したがって、資産価値の高い家を購入する場合は、自分自身で選ぶだけでなく、実績のある不動産会社からの提案やアドバイスを受けることが重要です。
彼らは市場のトレンドや将来の見通しをよく知っているため、最適なオプションを提供してくれます。
あなたの資産価値を最大限に活かすためにも、彼らとのコミュニケーションは必須です。