もし土地や中古の戸建て物件について調べている場合、おそらく「セットバック」という言葉を見かけたことがあるかもしれません。
また、自分の家を建て替える場合には、敷地の状況や道路の位置によってはセットバックが必要になることもあります。
それでは、まず「セットバック」とは何かについて説明しましょう。
セットバックとは、建物の周囲に必要なスペースを確保するために、建物の外壁と敷地の境界との間に一定の距離を取ることを指します。
このセットバックは、火災の拡大を防ぐためや、周辺住民のプライバシーを守るために定められています。
具体的なセットバックの幅は、地域や建築基準法によって異なります。
次に、「接道義務」について説明しましょう。
接道義務とは、建物を建てる際に守るべきルールの一つです。
これは、建物が道路に面していなければならないというものです。
接道義務があることで、周囲の住民や交通の流れに配慮することができます。
接道義務の例外や特例はありますか?と思われるかもしれませんが、実際にはいくつかの緩和措置や例外が存在します。
たとえば、道路からの距離がある程度離れている場合や、道路が狭い地域である場合には、接道義務が緩和されることがあります。
また、土地の形状や周囲の状況によっても例外が適用される場合があります。
そして、いつから接道義務が始まったのでしょうか。
接道義務は、明治時代の都市計画法の制定によって始まりました。
これにより、建物の配置や街路などが整備され、街をより安全で快適にするために接道義務が設けられたのです。
以上がセットバックや接道義務についての詳しい説明でした。
接道義務については、例外や緩和措置が存在することを覚えておいてください。
物件を探す際には、土地や建物のセットバックや接道条件も確認することが大切です。
セットバックとは
セットバックとは、土地と前面道路の境界線を後退させることです。
住宅には、建築基準法により「道路に敷地が2m以上接していなければならない」という接道義務が課されています。
つまり、土地や中古住宅が「要セットバック」とされると、敷地と道路の境界線を後退させる必要があります。
建築基準法で指定される道路とは、幅が4m以上(特定行政庁の指定により6m以上となる場合もあります)の道路を指します。
これは、災害時に緊急車両が通行できるようにするための防災対策です。
道路の幅が4m未満の場合、建築基準法の接道義務を満たしていないとされます。
ただし、以下の場合は例外として、幅が4m未満でも建築基準法による道路として認められます。
1. 建築基準法が施行される前に既に建物が存在していた道路 2. 特定の行政機関によって指定された道路 これらの場合は、幅が4m未満であっても、接道義務を満たしているとされます。
接道義務は家の敷地が道路に2m以上接すること
接道義務とは、建築基準法によって規定された道路に敷地が接しなければならないという決まりです。
この道路は公道でも私道でも構いません。
また、建物を建てる場合、道路に面する「間口」は2m以上を維持する必要があります。
ただし、大規模建築物(例:マンション)の場合は、接道義務は6m以上になり、接道の長さの規定も異なります。
接道義務は、都市計画区域または準都市計画区域の建物に関する規定です。
そのため、都市計画が定められていない地域、つまり都市計画区域外では接道義務は生じません。
接道義務は、総合的な整備や開発を促進し、安全を確保するために都市計画区域に課されるものです。
したがって、整備や維持の必要性がない都市計画区域外には接道義務は発生しません。
2項道路とは
「2項道路」とは、幅員が4メートル未満の道路で、建築基準法が施行される前から存在しているか、都市計画区域に指定された時点で既に建築物が立ち並んでいる道路を指します。
このような道路では、知事や市長などの特定の行政機関が道路として指定することで「建築基準法上の道路」と見なされます。
2項道路では、セットバックという条件を満たすことで建築物の建設が可能になります。
セットバックとは、道路や他の敷地との境界線から敷地や建物を後退させる行為を指します。
2項道路の場合、道路の中心線から2メートルまでの位置に敷地や建物を後退させることで幅員が4メートル以上確保されたとみなされ、建築物を建てることができるようになります。
もし道の反対側が川などであり、さらに後退することができない場合は、片側だけを後退させて幅員4メートルを確保します。
2項道路に接している建物は、そのまま使用し続ける限り撤去や移動の必要はありませんが、建て直しや増築を行う際には、道路の境界線まで敷地を後退させなければ再建築することはできません。
したがって、これを念頭に置いておく必要があります。
また、セットバックした部分は「私道」となりますが、同時に「道路」でもあるため、そこに物を置いたり、駐車スペースとして利用することはできません。
したがって、この点にも注意が必要です。
セットバックされた土地は敷地面積から除外されることもありますので、それも心に留めておくと良いでしょう。
セットバックした部分の土地の扱い
セットバックが必要な土地を購入する場合、セットバック部分を含めた土地全体を購入しなければなりません。
もし塀や門などがある場合は、撤去にかかる費用が発生することもありますので、購入する前に事前に確認することが重要です。
セットバックした部分にはいくつかの選択肢があります。
一般的には、その部分を自治体に寄付するか、買い取ってもらう方法があります。
自治体に寄付することが一般的ですが、場合によっては買い取ってもらえることもあります。
さらに、自治体から奨励金や助成金が支給される場合もあります。
ただし、奨励金や助成金を受ける場合は申請が必要ですので、もし受けられる可能性があるならば、手続きを忘れずに行うようにしましょう。
また、所有権を維持したままセットバック部分を私道とすることもできます。
ただし、その場合でもセットバック部分は自由に使うことができるわけではありません。
基本的には土地の所有者が維持管理を行う必要がありますが、例えば駐車場や植木鉢の置き場として利用するなどはできませんので、注意が必要です。
固定資産税について
建物からセットバックされた土地の一部は、非課税の特典を受けるために、自治体に申告する必要があります。
この申告を怠ると、セットバック部分にも固定資産税がかかってしまうことになりますので、申告手続きを忘れずに行いましょう。
自治体に申告することによって固定資産税や都市計画税の非課税措置が適用され、負担を軽減することができます。
目安としては、土地のセットバック部分の面積に応じて非課税措置が適用されることが多いです。
したがって、土地のセットバック部分がある場合は、自治体への申告を忘れずに行い、税金の負担を最小限に抑えましょう。
建ぺい率・容積率の計算
セットバックされた部分の土地には、建物の容積率や建蔽率の計算には含まれないことになります。
つまり、このセットバック部分には建物や塀、門を建てることはできず、また駐車場として利用することもできません。
したがって、セットバックが必要な土地を購入する場合、外観上は広く見えるかもしれませんが、実際に使用できる敷地面積は狭くなってしまう可能性があるので、注意が必要です。
セットバック物件の購入は避ける?
セットバックが必要な物件は、通常、前面道路が狭い状況にあります。
具体的に物件を現地確認すると、防災の観点や車の出し入れに不安を感じることがあるかもしれません。
また、セットバック部分の工事費用についても確認する必要があります。
助成金などの支援が受けられず、全額を自ら賄わなければならない場合には、予期せぬ出費になる可能性があります。
そのため、物件を購入する前に不動産業者や自治体に相談し、詳細を確認することが非常に重要です。
上記のようなデメリットがあるため、セットバックが必要な部分は、将来的に売却する際の価値が下がる可能性があると考えられます。
ただし、もし既に建物が建っていて、建て替えの計画がなければ、セットバックなしで現在の状態を維持することも選択肢のひとつです。
また、土地が広い場合は、セットバックをしても十分なスペースを確保し、建て替えることができます。
実際、セットバックが必要な物件では、他の同様の土地よりもやや安く購入することができる可能性もあります。
セットバック物件のメリットとデメリットを理解した上で、自分の希望に合った選択をすることが非常に重要です。
購入を検討する場合には、十分な情報収集を行い、専門家の意見を聞くこともおすすめです。
まとめ
幅が4m未満の道路に接地している土地や中古戸建ての場合、住宅を建築する際や建て替えを行う際には、セットバックと呼ばれる特別な対応が必要になります。
セットバックとは、建物の建築ラインを道路から一定距離離すことを指します。
セットバックを行う際は、いくつかのポイントに留意する必要があります。
まず、セットバックを行うことによって生じる費用負担について、事前に確認しておくことが重要です。
セットバックによって建物が少なくなり、敷地面積が狭くなる場合、建物の規模によっては追加のコストが発生することがあります。
さらに、セットバックに関連する奨励金や助成金の有無も確認しておくことがおすすめです。
地域や自治体によっては、2項道路やみなし道路に接地する場合には特別な補助金や助成金が用意されていることがあります。
これらの制度を活用することで、セットバックに伴う負担を軽減することができるかもしれません。
建築や建て替えを考えている場合は、まずは土地が2項道路やみなし道路に接地しているかを確認しましょう。
もし接地している場合、セットバックが必要になる可能性があるので、事前に関連する費用や補助金、助成金について調査し、予算や計画に反映させるようにしましょう。